巨人の聖地になぜ日ハム?後楽園駅メロ「進めファイターズ」の真相
東京ドームの最寄り駅として、連日多くの野球ファンが行き交う東京メトロ後楽園駅。南北線のホームに降り立つと、耳に飛び込んでくる軽快なメロディに思わず足を止めた経験はないでしょうか。5番線で読売ジャイアンツの応援歌『闘魂こめて』が流れる一方、反対側の6番線(目黒方面)から響いてくるのは、かつての日本ハムファイターズ球団歌『進めファイターズ』です。
「読売ジャイアンツの牙城であるはずの後楽園で、なぜ北海道日本ハムファイターズの曲が使われているのか?」——そんな素朴な疑問を抱く利用者は少なくありません。球界再編や北海道移転から歳月が流れた今なお、地下深くのホームでこの名曲が鳴り響き続ける背景には、文京区後楽園という土地が歩んできた濃密なプロ野球の歴史と、鉄道会社・球団双方の深いリスペクトがありました。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:南北線後楽園駅6番線の発車サイン音には、1977年制定の日ハム球団歌『進めファイターズ』が採用されている。
- 要点2:日本ハムは1988年の東京ドーム開場から2003年まで巨人と本拠地を共用しており、後楽園は「日ハムのホーム」でもあった。
- 要点3:北海道移転やエスコンフィールド開業を経た現在も、東京時代の歴史を物語るシンボルとして愛され続けている。
【発祥の謎】巨人の本拠地・後楽園駅でなぜ日本ハムの球団歌が流れるのか?
東京ドームといえば「巨人の本拠地」というイメージが強烈ですが、南北線後楽園駅の発車サイン音に『進めファイターズ』が選ばれた理由は、かつてこの地が日本ハムファイターズの本拠地(フランチャイズ)だった歴史に由来します。
東京メトロが南北線の後楽園駅に野球にちなんだ発車メロディを導入したのは2015年3月14日のこと。東京ドームを冠する駅としての地域密着施策の一環として企画されました。当時すでに日本ハムは北海道へ本拠地を移転して10年以上が経過していましたが、東京ドームおよび前身の後楽園球場をホームスタジアムとして戦ってきた球団の功績を称え、巨人の『闘魂こめて』と対になる形で正式採用されたのです。
ライバル関係にあったセ・パ2球団の公式ソングが、線路を挟んで向かい合う形で鳴り響く駅は全国的にも極めて珍しく、プロ野球発車メロディの代表的な傑作事例として鉄道ファン・野球ファンの双方から高く評価されています。
【歴史を紐解く】後楽園球場から東京ドームへ|日ハム「東京時代」の記憶
若い世代には「日本ハム=北海道」の印象が定着していますが、オールドファンにとって後楽園・水道橋エリアはまさに日ハムの故郷です。球団の歴史を紐解くと、前身の東急フライヤーズ時代(1953年)から後楽園球場を本拠地とし、1988年に日本初の屋根付き球場として誕生した東京ドームでも、読売ジャイアンツと並ぶダブルフランチャイズとして2003年まで主催試合を開催していました。
「東京時代」のファイターズは、大島康徳氏や田中幸雄氏、岩本勉氏、そして若き日の新庄剛志氏や小笠原道大氏らがグラウンドを駆け巡り、パ・リーグ特有の熱気あるファンカルチャーを築き上げました。東京ドームのスタンドがオレンジ一色に染まる巨人戦とはまた違う、熱狂的なファイターズファンが後楽園の街を沸かせていたのです。
2004年の北海道移転によって本拠地機能は札幌(現・北広島市のエスコンフィールドHOKKAIDO)へと移りましたが、後楽園という街にとって日本ハムは決して「過去のビジターチーム」ではなく、共に黄金期を築いた大切な当事者であり続けています。
【南北線6番線】『進めファイターズ』原曲の魅力と心躍るアレンジ
後楽園駅6番線メロディとして流れる『進めファイターズ』は、1977年に球団歌として制定された昭和の名曲です。作詞を若井久氏、作曲を映画音楽の巨匠として名高い佐藤勝氏が手掛け、アニソン界のレジェンド・ささきいさお氏が力強く歌い上げた原曲は、一度聴いたら忘れられないキャッチーな旋律を持っています。
「進めファイターズ 勝利の男~♪」という勇壮なフレーズで知られるこの楽曲は、駅メロ化にあたって電車の発車を知らせる約7秒間の爽快な電子チャイムへと見事にアレンジされました。短尺でありながらサビの高揚感が凝縮されており、出勤時やイベント帰りの乗客の気分を高める仕掛けになっています。
駅のスピーカーから流れるクリアな音色は、往年のファンにとっては当時のメガホンを叩く応援スタイルを想起させ、現役世代にとっては「どこか懐かしく耳に残るフレーズ」として親しまれています。
【ファン歓喜】5番線『闘魂こめて』との対比に見る粋な演出
後楽園駅の発車メロディが秀逸とされる最大のポイントは、単に曲を流すだけでなく、ホームの構造を活かした空間演出の対比にあります。
赤羽岩淵方面へ向かう5番線に電車が到着すると、流れるのは巨人の象徴である『闘魂こめて』(作詞:阪瀬竜一/補作:サトウハチロー/作曲:古関裕而)。そして目黒・東急線方面へ向かう6番線では『進めファイターズ』が響きます。かつて同じグラウンドで熱戦を繰り広げた2つの魂が、地下のプラットフォームで交差する構成は、まさに東京ドームのお膝元ならではの贅沢な演出です。
SNS上でも「後楽園駅の南北線ホームに立つと、東京ドームの歴史そのものを聴いている気分になる」「巨人の曲だけでなく日ハムの曲を残してくれた東京メトロの配慮が素晴らしい」といった好意的な投稿が絶えず寄せられています。
【現在と未来】北海道・エスコン移転後もメロディが鳴り響き続ける意義
2023年に北海道ボールパークFビレッジ(エスコンフィールドHOKKAIDO)が開業し、球団が新たな黄金期を迎えている現在も、東京メトロ後楽園駅の発車サイン音が変更される予定はありません。
日本ハムは本拠地移転後も、年に数試合のペースで東京ドームでの主催試合(東京ドームシリーズなど)を継続して実施しています。その開催日には、関東近郊に住むファイターズファンや北海道から遠征してきたファンが後楽園駅に集結し、ホームに響く『進めファイターズ』を聴いて胸を熱くさせる光景が恒例となっています。
鉄道の発車音は、単なる安全確認の合図を超えて、その街のアイデンティティや記憶を後世に伝える文化的な役割を担っています。東京ドームと後楽園駅がある限り、この音色は都市のレガシーとしてこれからも愛され続けていくはずです。
【進めファイターズと東京メトロ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:『進めファイターズ』の発車メロディは丸ノ内線の後楽園駅でも流れますか?
A1:いいえ、流れません。野球関連の発車メロディが導入されているのは東京メトロ南北線の後楽園駅ホーム(5・6番線)のみです。丸ノ内線ホームでは通常の駅メロディが使用されていますのでご注意ください。
Q2:なぜ現在の日本ハム公式球団歌『ファイターズ讃歌』ではなく『進めファイターズ』なのですか?
A2:『ファイターズ讃歌』も有名ですが、後楽園球場時代から東京ドーム初期にかけて球団のシンボルとして長く親しまれた原曲が『進めファイターズ』であったため、当時の歴史的背景を尊重してこちらのメロディが採用されています。
Q3:発車メロディは期間限定ではなく、今後もずっと聴くことができますか?
A3:はい。イベント等による期間限定のタイアップではなく、恒久的な発車サイン音として導入されているため、通常ダイヤの運行時にいつでも聴くことができます。
まとめ:後楽園駅のホームに息づくプロ野球の歴史と東京の記憶
巨人の本拠地として知られる後楽園駅で、今なお誇らしげに鳴り響く『進めファイターズ』の発車メロディ。その数秒間の音色には、後楽園球場から東京ドームへと受け継がれてきたパ・リーグの熱気と、日本ハムファイターズが東京で刻んだ偉大な足跡が凝縮されています。
東京ドームへ野球観戦やコンサートで訪れる際は、ぜひ東京メトロ南北線のホームに耳を傾けてみてください。大都会の地下に流れる名曲が、プロ野球が紡いできた豊かな歴史のドラマを静かに伝えてくれます。 (出典: 進め ファイターズ 東京 メトロ(Yahoo!ニュース))